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「サラの鍵」☆☆☆ [映画・ドラマ・観劇]

春はまだ遠く感じられ、今週は特に長く感じます。まだ木曜なのに、夕食の買い物ついでに、ついペットボトルのワインを買ってしまい、久しぶりのアルコールでした。

去年公開だったのでしょうか。DVDで借りて見ました。
映画評で良かったのを読んで見ようと思いながらも、前に見た嫌な映画、灼熱の・・・を思い出すと、腰がひけていました。今を生きる主人公が、過去の戦争、紛争の暗い歴史を辿る。。という同じようなストーリー構成が、重たいなと感じ、なかなか見れなかったのです。けれど、この作品は、よかったです。

歴史はそんなに得意でもないし、戦争となると余計に避けてしまっているところがあります。
ナチスが台頭していた1942年、この映画(原作本がベストセラーらしいです)の発端、フランス政権下で、フランス人自身によるユダヤ人迫害、大量検挙、ヴェル・ディブ事件があったことも、知りませんでした。
フランスに暮らす1万人以上のユダヤ人が、子供も容赦なく、一斉に検挙され、まずは競輪場に閉じ込められたところから、この物語は幕を開けます。

利発で可愛らしい主人公の少女サラは、生き別れてしまった弟に会うことだけを目的に、必死で生き残ろうとして、その生涯は現代へと映画の中でつながっていきます。
フランス人と結婚し、その夫の実家がサラの家だったという由縁でサラの生涯を辿ろうとする、現代の主人公を演じるのは、知的で静のイメージの美人、クリスティン・スコット・トーマスです。私にはミッションインポシブルのプラハのシーンが一番印象的で、好きな女優さんです。

暗いばかりでなく美しい映像も交え、破綻のないうまく構成されたストーリーと落ち着いて抑制の効いた演技を基盤に、憎しみや哀しみ、不幸だけでなく、思いやり、愛情や人間の良いところも描いていることで、全てがバランスがとれ、良い作品に仕上がっているのだと思います。
また、自由博愛の国のイメージがあるフランスがユダヤ人虐殺に大きく加担していたことはショックですが、映画の中では、それだからか、幾分救いのある場面も描かれます。

ただ、ひとつ、困ったのは、どの俳優さんも良かったのですが、現代の主人公の夫、義父、義祖母が、外見上、いまひとつ年齢差がくっきりする感じではなく、人間関係を理解するのにちょっと時間がかかってしまいました。そんなのは私だけでしょうか。

一番近い戦争でありながら、日本でも第二次世界大戦のことはもう段々と遠い歴史になっているのかも知れません。けれど、知ろうとすれば、自分の家族にも、自分の周りの人たちの家族にも、何であれ戦争と関わる重たい事実はあるのかもと思います。ただ、この映画でもそうですが、語りたくないという人が多いのが現実でしょうか。それに、人種差別は現代の日本、アジア人間でも確実にあるのは事実です。

サラと友達が収容所近くを駆けていく草原の風景が余りに美しく一番印象に残りました。
お勧めです。
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