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E.L.カニグズバーグ 「クローディアの秘密」 [本]

最近、ぼーっと見ていた番組で、モナリザは2枚あり、有名な方の年嵩に見えるモナリザは、離れて暮らしていた母がモデルではないかというのをやっていました。一般的にはジョコンダ夫人の肖像画ですが。

それで、前にも書いたのですが、アメリカの児童文学のカニグズバーグを久しぶりに思い出しました。すると、先月お亡くなりになっていました。

ジョコンダ夫人。。。以外に何を読んだか、はっきりは覚えていないのですが、クローディアの秘密は夢中になって読んだのを覚えています。賞をとっており、かなり有名な児童文学です。魔女ジェニファとわたしも面白かった覚えが。
商店街の古本屋に立ち寄ったら、たまたまクローディアがあったので、何十年ぶりかで読み返しました。

主人公はNY近郊に住む少女クローディアと選ばれし弟のジェイミー。2人が家出する話で、舞台はメトロポリタン美術館です。ありえない設定ですが、少しありそうな気もしてわくわくします。
クローディアが家出をする理由は、細かなルールもある、決まりきった日常生活に飽き飽きして嫌になったから。
これは普通の勤め人の大人の方がそういう欲求が強いかもしれません。この歳になって読んだから思えることですが。

聡明でドライなところのある姉弟の機微のあるやり取りが面白く、登場人物が少なくともあきさせません。語り手が2人の絶対的な関係性について描写したところは、そうだなと共感させられました。

クローディアも弟のジェイミーも、都会の子供だからか、シニカルな大人の一面も持っているのが、子供時代に読んだときも印象的でした。

謎解きを伴う子供向けの冒険ストーリーとしての面白さをもちながら、子供向けだけに書いたとは思えない人生の真実とも言うべき様々についても、わかりやすく心に触れる文章で書かれています。翻訳文には古めかしさもありますが、大人の年齢になってから読むと余計に心にしみるような気がします。
幸せとは何か、真のパートナーとは。
秘密を抱えるのが大人なのか。それは幸福とイコールなのか。秘密とは何なのか。

大人への階段を登り始め、アイデンティティを探す少女の物語と言えるかも知れません。
もちろん男性にも読んで欲しいですが。

挿絵も作者です。元々は理系の方だったようですが、ジョコンダといい、この本も舞台は美術館でミケランジェロがメインモチーフ。美術好きにも楽しい小説です。

私がこの本を好きなことは今も変わりません。それは、ちっとも大人な部分が増えていないからかも知れませんが。大人とは複雑なものだからそれでもよいか。一番好きなシーンも変わらず噴水。

クローディアは永遠のヒロインとして記憶に残る名前で名作です。他の本もまた読んでみたいと思います。

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